3.法令の改正内容
第三号被保険者としての被保険者期間の特例 (附則9条の4の2)
「被保険者又は被保険者であつた者は、第三号被保険者としての被保険者期間(昭和61年4月から平成25年6月までの間にある保険料納付済期間(政令で定める期間を除く)に限る)のうち、第一号被保険者としての被保険者期間として記録の訂正がなされた期間(不整合期間)であつて、当該訂正がなされたときにおい
てて険料を徴収する権利が時効によつて消滅しているもの(時効消滅不整合期間)について、厚生労働大臣に届出をすることができる」
@不整合期間として3号から1号被保険者に記録が訂正された者であって、訂正があった期間が、2年よりも前の期間を含むときは、厚生労働大臣に届出て、2項以下の救済の対象にしてもらうことができる。
Aこの法律改正前に記録訂正された者も届出ることができる。
B届出により認められたこの時効消滅不整合期間のことを特定期間という。
「同2項 前項の規定により届出が行われたときは、当該届出に係る時効消滅不整合期間(特定期間)については、この法律その他の政令で定める法令の規定を適用する場合にお
いては、当該届出が行われた日以後90条の3の(学生納付特例)の規定により納付することを要しないものとされた保険料に係る期間とみなすほか、 これらの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める」
なお、特例追納等により、保険料が納付された場合は、納付済み期間とする(同3項)
@不整合期間のうち、2年超過の期間については、学生納付特例と同じように取り扱う
すなわち、保険料の納付をしないと年金額には反映されないが、合算対象期間としては認める。
A特定期間の届出を行わないと、特例追納できないだけでなく、合算対象期間としても認められないことになり、老齢・障害・遺族年金(基礎年金、厚生年金、共済年金)の受給権を失う場合もあり得る。
Bなお、記録不整合期間のうち2年経過していない期間については、保険料の納付義務を果たさないと、単なる保険料未納期間となる
。特に、62歳になる前に繰上げ受給している者は注意を要する。
特定保険料の納付(特例追納) (附則9条の4の3)
「特定保険料納付期限までの間において、被保険者又は被保険者であつた者(特定期間を有する者に限る)は、厚生労働大臣の承認を受け、特定期間のうち、保険料納付済期間以外の期間であつて、その者が50歳以上60歳未満であつた期間(その者が60歳未満である場合にあつては、
特例納付の承認日の属する月前10年以内の期間)の各月につき、承認の日の属する月前10年以内の期間の各月の保険料に相当する額に政令で定める額を加算した額のうち最も高い額(承認の日の属する月前10年以内の期間にあつて
は、当該加算した額)の保険料(特定保険料)を納付することができる」
@特定保険料納付期間は平成27年4月1日から平成30年3月3日までの3年間に限り、時効消滅した期間の保険料を特例的に納付することができる。
A追納する保険料の額は当時の保険料額+加算額(10年より前の分については、10年以内の保険料額+加算額の中のうち最も高い額)
ここで、加算額は免除保険料の追納と同じとなる予定。
「同3項 特定保険料の納付が行われたときは、納付が行われた日に、納付に係る月の保険料が納付されたものとみなす」
「同4項 老齢基礎年金の受給権者が特定保険料の納付を行つたときは、納付が行われた日の属する月の翌月から、年金額を改定する。
ただし、次条に規定する特定受給者については、特定保険料納付期限日の属する月の翌月から、年金額を改定する」
既に、老齢基礎年金を受給している者で、
@特定期間が未納期間として既に訂正されている者は、特例納付した月の翌月から、特例納付月数に応じて、年金額が増額改定される。(実際の支給時期は、ケースによって異なる場合がある)
A特定期間が保険料納付済期間とはなっている者(大部分はこれに属すると思われる)は、年金額が減額となるので、次の激減緩和措置を適用する。
特定受給者の老齢基礎年金等の特例 (附則9条の4の4)
「記録の訂正がなされたことにより時効消滅不整合期間となつた期間を有する者であつて、平成27年7月1日において当該時効消滅不整合期間となつた期間が保険料納付済期間であるものとして老齢基礎年金又は被用者年金各法に基づく老齢給付等を受けているもの(これらの給付の全部につき支給が停止されている者を含む。特定受給者という)が有する当該時効消滅不整合期間となつた期間については、
この法律その他の政令で定める法令の規定(老齢基礎年金又は被用者年金各法に基づく老齢給付等に係るものに限る)を適用する場合においては、特定保険料納付期限日(平成30年3月31日)までの間、保険料納付済期間とみなす。
この場合において、附則9条の4の2の2項(学生納付特例の準用)の規定は、適用しない」
特定保険料納付期限日の属する月の翌月以後の特定受給者の老齢基礎年金の額 ((附則9条の4の5)
「特定受給者に支給する特定保険料納付期限日の属する月の翌月以後(平成30年4月以後)の月分の老齢基礎年金の額については、訂正後年金額が訂正前年金額(前条に規定する時効消滅不整合期間となつた期間を保険料納付済期間とみなして計算した額)に100分の90を乗じて得た額(減額下限額)に満たないときは、減額下限額に相当する額とする」
@時効消滅不整合期間が保険料納付済期間とはなっている者で既に老齢基礎年金、その他の老齢・退職年金を受給している場合は、
その不整合期間は保険料未納期間であるが、直ちにこの処理を行うと年金額が減額になるので、
特定保険料納付期限日(平成30年3月31日を予定)までの間は、保険料納付済期間のままとする。(年金額は当面不変とする)
A特定保険料納付期限日を過ぎた平成30年4月以後の年金については、特例納付されたあるいはされなかった実態に即して、本来の年金額に減額訂正する。
ただし、年金額の減額が10%を超えるときは、減額は10%に留める。
B特定期間が未納期間として既に訂正されている者についても、減額は訂正前の10%を上限とする。(既に未納期間として訂正されているから緩和措置は受けられない、という不利益は生じない)
不整合期間を有する者の障害基礎年金等に係る特例 (附則9条の4の6)
「記録訂正がなされたことにより不整合期間となつた期間 を有する者であつて、平成27年7月1日において当該不整合期間となつた期間が保険料納付済期間であるものとして障害基礎年金又は被用者年金各法その他の政令で定める法令に基づく障害を支給事由とする年金たる給付を受けているもの)(これらの給付の全部につき支給が停止されている者を含む)の当該不整合期間となつた期間について、この法律その他の政令で定める法令の規定(これらの給付に係るものに限る)を適用する場合においては、保険料納付済期間とみなす」
「同2項 記録の訂正がなされたことにより不整合期間となつた期間を有する者の死亡に係る遺族基礎年金又は被用者年金各法その他の政令で定める法令に基づく死亡を支給事由とする年金たる給付であつて、
平成27年7月1日において当該不整合期間となつた期間が保険料納付済期間であるものとして支給されているもの(これらの給付の全部につき支給が停止されているものを含む)の受給資格要件たる期間の計算の基礎となる当該不整合期間となつた期間については、この法律その他の政令で定める法令の規定(これらの給付に係るものに限る)を適用する場合においては、保険料納付済期間とみなす」
@時効消滅不整合期間を有するが既に障害基礎年金その他の障害年金を受給している場合は、不整合期間は保険料納付済み期間とみなして、そのまま受給資格を認める。(年金額の変更もない)
A時効消滅不整合期間を有するが既に遺族基礎年金その他の遺族年金を受給している場合は、不整合期間は保険料納付済み期間とみなして、そのまま受給資格を認める。(年金額の変更もない)
|