年金機能強化法により、近い将来の年金の仕組みはこうなる。(その3) 7.その他の規定(給付関係)の改正 交付の日(24年8月22日)から2年以内の政令で定める日から施行 7.1 未支給年金の請求範囲の拡大(国民年金法19条、厚生年金保険法37条の改正) 「年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の3親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を名で、その未支給の年金の支給を請求することができる」 「同3項 未支給の年金を受けるべき者の順位は、政令で定める」 ⇒従来は生計同一の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹という限定列挙であったが、改正後は、これに加えて、生計同一の3親等以内の親族にまで拡大する すなわち、
7.2 繰下げ支給(国民年金法28条、厚生年金保険法44条の3の改正) 「66歳に達した日後に次の各号に掲げる者が繰下げ支給の申出をしたときは、当該各号に定める日において、申出があつたものとみなす @70歳に達する日前に他の年金たる給付の受給権者となつた者:受給権者となつた日 A70歳に達した日後にある者(前号に該当する者を除く):70歳に達した日 ⇒従来は、70歳を過ぎて繰下げを申出した 場合、70歳到達時点で年金額の増額が終了するだけでなく、申出のあった日の属する月の翌月分以降の年金しか支給されなかった(貰い損ねが発生していた)。 改正後は
7.3 国民年金任意加入者の未納期間の合算対象期間への参入 (1)施行日(昭和61年4月1日)前の期間の合算対象期間(61年改正法附則8条5項の改正) ⇒旧国民年金法による任意加入被保険者(厚生年金被保険者・受給権者・受給資格期間ある者の妻、平成3年3月31日までの学生など)が任意加入したものの保険料を納付しなかった期間については、任意加入しなかった期間と同様に取扱い、合算対象期間とする。 (2)施行日以降の期間の合算対象期間 ⇒新国民年金法による任意加入被保険者(海外移住者など)が任意加入したものの保険料を納付しなかった期間についても、同様とする。 すなわち、
7.4 障害年金の額の改定請求のための待機期間 障害の程度が変わつた場合の年金額の改定(国民年金34条3項の改正) 「前項の請求(受給権者による額の改定の請求)は、障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き、 当該障害基礎年金の受給権を取得した日又は1項の規定による厚生労働大臣の診査を受けた日から起算して1年を経過した日後でなければ行うことができない」 ⇒「障害基礎年金の受給権者の障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き」を追加。 障害厚生年金についても同様の改正。これにより、
7.5 障害特例の場合の特別支給の老齢厚生年金の支給開始 障害者の特例(厚生年金保険法附則9条の2の5項の新設 「次のの各号のいずれかに該当するときは、老齢厚生年金の額の計算に係る特例(障害特例)の請求をすることができる。この場合において、当該各号に規定する日に同項の規定による請求があつたものとみなす」 @老齢厚生年金の受給権者となつた日において、被保険者でなく、かつ、障害状態にあるとき (障害厚生年金等を受けることができるときに限る) A障害厚生年金等を受けることができることとなつた日において、老齢厚生年金の受給権者で あつて、かつ、被保険者でないとき。 B被保険者の資格を喪失した日において、老齢厚生年金の受給権者であつて、かつ、障害状態 にあるとき(障害厚生年金等を受けることができるときに限る) ⇒従来は、障害特例に該当する場合でも、本人からの請求に基づき、請求月の翌月から特別支給の老齢厚生年金の定額部分が支給開始となっていた。 (請求が遅れた分、不利益となっていた) 改正後は、
8.その他の規定(保険料・その他)の改正 交付の日(24年8月22日)から2年以内の政令で定める日から施行 8.1 免除期間の保険料 (1)法定免除者が前納した保険料(国民年金法89条の改正) 「被保険者(3/4免除、半額免除、1/4免除の適用を受ける被保険者を除く)が次の各号のいずれかに該当(法定免除に該当)するに至ったときは、 その該当するに至った日の属する月の前月からこれに該当しなくなる日の属する月までの期間に係る保険料は、既に納付されたものを除き、納付することを要しない」 申請免除(全額免除、3/4免除、半額免除、1/4免除)、学生納付特例についても同様の改正 ⇒免除(法定免除、申請免除、学生納付特例を含む)に該当した場合でも、免除該当期間の保険料 については、従来は ・免除該当日前に前納していた保険料及び免除該当日前に納付した保険料は還付できなかった。 ・遡って法定免除となった場合、納付していた保険料で結果的には免除期間中の保険料となってしまった分については、必ず還付されていた。 改正後は、
(2)法定免除者による自主的な保険料の納付(国民年金法89条2項の新設) 「法定免除の規定により納付することを要しないものとされた保険料について、被保険者又は被保険者であつた者から当該保険料に係る期間の各月につき、保険料を納付する旨の申出があつたときは、当該申出のあつた期間に係る保険料に限り、同項の規定は適用しない(保険料免除期間とはしない)」 すなわち、
(3)申請免除による保険料の遡り免除(国民年金法90条の改正)
8.2 付加保険料の納付期間の延長 国民年金法87条の2の4項の改正 「付加保険料を納付する者となったものが、国民年金基金の加入員となったときはその加入員となった日に、前項の申出(付加保険料を納付する者でなくなる申出)をしたものとみなす」 ⇒「納期限までに納付しなかったときは、その納期限の日に」を削除。 よって、従来は翌月末日までに本体の保険料を納付しなかった場合は、自動的に付加保険料の納付を辞退した者とみなされていた。 改正後は、
|