標準報酬月額、標準賞与に関する最近の話題 (1)健康保険法の標準報酬月額表の改定 従来の47等級区分(5.8万円から121万円)の上にさらに3区分を設け、全50等級区分(5.8万円から139万円)に。 随時改定における2等級以上の差異の判定は、50等級については、141.5万円を基準とする。 ・平成28年4月に現行の報酬月額に基いて、職権で自動改定する。(改定後には新等級に該当する被保険者がいる協会健保の事業主に対しては、平成28年4月中に管轄の年金事務所より「標準報酬改定通知書」が送付される) ・平成28年4月から標準報酬月額を改定すべきとして、「月額変更届」を提出した場合は、その報酬月額をもとに、新しい区分による標準報酬月額が決まる。
(2) 標準賞与額の上限の改定 年間標準賞与額の上限が、540万円から573万円に。 (3) 賞与の取り扱いの変更 「通常の報酬には、一か月を超える期間にわたる事由によって算定される賃金等が分割して支給されることとなる場合その他これに準ずる場合は含まれない」を明文化し、平成27年10月1日から適用されることに。(H27.09.18保保発0918第1号、年管管発0918第5号) ⇒従来は、たとえば7月と1月に60万円、各月に500円を支払う報酬(賞与、手当等の名称は問わず)に対しては、年4回以上支給するから賞与ではないとし、定時決定の際は500円を通常の報酬に上乗せするだけで済ます場合があった。 しかしながらこのたびの通達により、給与規定等によって賞与、手当その他一か月を超える期間にわたる事由によって算定される報酬を分割して毎月支給する場合は、「通常の報酬」ではなく、「賞与に係る報酬」として、その年間総支給額/12を報酬月額に加算して、「算定届」を提出しなければならない。 (上記の例でいくと、(60万円×2+500円×12)/12=100,500円を各月の報酬月額に加算しなければならない) (4) 傷病手当金・出産手当金の額の改定 従来は、支給する日毎の標準報酬月額/30×2/3であった(実際には、休業期間中の標準報酬月額は休業開始直前の値とするのが通例)が、意図的に休業直前や休業期間中の標準報酬月額を高額に改定する、あるいは、すぐに労務不能となる状態であるのに、高額な報酬で就職するなどによる不正受給を防止する必要があるとして、28年4月からは、 ・支給開始月以前1年間の標準報酬月額の平均値/30×2/3とすることになった。 (既に受給中の者も額の改定がなされる。ただし、1度新方式で給付額が確定すれば、その後の額は不変とする) ・被保険者期間が1年未満の場合は、その被保険者期間中の標準報酬月額の平均値(ただし、全被保険者の標準報酬月額の平均値(協会健保の28年度値は28万円)を上限とする)/30×2/3 ・よって、傷病手当金と出産手当金の額が支給開始時点によっては異なる事もありうる。 (出産手当金を優先するが、差額が発生する場合は傷病手当金として差額も支給) (以上) |