遺産相続と国民健康保険料 今回は年金の話ではなく、退職後の健康保険制度の話です。 O君は、私が前にいた職場で隣の研究室にいた同期です。奥さんも同期です。 私がアメリカの大学に1年間派遣された後、後任として彼も同じ大学にいきました。渡米前に引継ぎの話をしたのは、もう30年も前になります。 最近、彼からメールが来ました。「Tomeさん、国民健康保険の保険料が八王子市の上限61万円になってしまった。健康保険のほうが良かった。払うのが大変だ。」 どうやら、目論見が外れたらしい。 実は私も、15年6月に退職したとき、健康保険制度の選択に迫られた。「任意継続被保険者」として健康保険に残るか、国民健康保険に加入するかの選択である。(そのほかには、配偶者や子供の扶養家族になるという手もあるが、これは年金等による年収が180万円以内で、かつ扶養する方の年収が2倍以上ないといけない。 また、特定健康保険組合員であった者は、「特例退職被保険者」として、いわゆる退職OB健康保険制度に入ることも可能。 ただし、この場合は、75歳まで、他の制度に乗り換えることはできないので要注意) いずれにしても、一部負担金が15年4月から原則3割に統一されて以来、給付内容に大きな差異はないと思われるので、保険料の多寡が一つの目安になる。 一般的には、国民健康保険の保険料(または保険税方式のところもある)は、前年の所得に依存するため、退職により給与を受けとれなくなっても、すぐには下がらない。 よって、私は退職後、20日以内に住所地管轄の厚木社会保険事務所にいって、「任意継続被保険者」になった。保険料は、政府管掌健康保険の前年9月30日における、政府管掌全被保険者の標準報酬月額の平均額(16年度、17年度適用分とも280,000円)に保険料率8.2%を掛けた値である。 これなら、全額本人負担であっても、以前よりは安い。 しかし、これも2年限りであり、今年の6月になってすぐ、法定期間満了となるので「資格喪失届」を提出するようにとお達しがあった。その後は、座間市役所に 出向いて、国民健康保険の「退職者医療制度」に入った。 被保険者証は住所確認のためもあってか直ちには発効されず、数日後に自宅に送付されてきたが、肝心の保険料納付書がまだ来ない。よって、額がわからない。 座間市の場合の保険税額は、@(前年の所得額ー33万円)×5.55%+Aその年の固定資産税額×1.8%+B22,OOO円×同一世帯加入者数+C24,000円(全世帯一律)で決まること、53万円が上限で、介護保険料と合わせると上限は61万円。 これならすぐに計算はできる。(確定申告も、固定資産税の納付も済ませたばかりである) O君の八王子市では、@(前年の所得額ー33万円)*5.3%+A27,600円*同一世帯加入者数で、上限は同じく、53万円、介護保険料と合わせると61万円である。 このように、各市区町村では保険料額が微妙に違うことから、東京23区では、同一所得、同一世帯構成であれば同一の保険料となるよう、基準となる保険料率を23区共有のものとする「統一保険料方式」(住民税額*2.08+32,100円 *同一世帯加入者数)が、大部分の区で採用されている。 いずれにしても、健康保険においては「標準報酬月額」と「標準賞与額」すなわち、会社から受け取る給与所得のみが保険料算定の対象となるが、国民健康保険ではそうはいかない。 所得や住民税額をベースにするので、遺産相続による譲渡所得はもちろん含まれるし、座間市のように土地や建物の固定資産税を算定対象にするところもある。 自慢ではないが、私は病院にいって治療代を払った記憶がほとんどない。(皆無、ゼロ回ではないように思うが、思い出せない)。ただし、人間ドック(これは保険対象外)で驚かされて、病院に検査にいったことは、確かに1、2回ある。 自分のことだけを考えると、いっそ労災保険法のように、メリット制を導入してくれたらありがたいのだが、と思う。 そういえば、私的な入院保険などで、「無事故ならボーナスを支給」という宣伝がめだつが、あれはメリット制ではなく、ボーナスもらいたさに保険給付を請求しない人がでてくることを期待しているのではと、勘ぐりたくなるのは私だけか。 「いつまでもあると思うな健康と金(親もそうでしたね)」でも、多額の遺産をもらうと、税金だけでなく、健康保険料もたくさんとられますぞ。
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