年金にも税金はかかるのだ。必ず確定申告を 社会保険、労働保険にはいわゆる「公課の禁止」という条項がある。 たとえば労災保険法12条の6にいわく、 「租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として課することはできない」とあり、保険給付に税金はかからない。 ところが、国民年金法や厚生年金保険法では、それに続いて「ただし、老齢基礎年金、付加年金、老齢厚生年金については、この限りでない」とのたまわっている。 さらに、国税を滞納すると、これらの年金を差し押さえることもできるのだ。 実際には、年金が偶数月の15日に支給されるときに、現役サラリーマンと同じように税金分が自動的に源泉徴収されているので、受け取り年金額は税引き後の額である。 年金は雑収入(名前がよくない)と呼ばれているが、そこから控除額を引いた所得に対して、所得税がかかり、定率減税の恩恵もうける。 つまり、サラリーマンの給与収入と扱いはまったく同じである。 ちなみに、年金と給与の両方をもらうと、単純に合計した額が収入になるだけである。 サラリーマンと違うのは、年末調整を会社ではやってくれないので、年金受給者は自分で確定申告しなければならないことである。 毎年1月になると、社会保険庁から源泉徴収票が送られてくる。 Tomeさんの納税額は82,000円である。 参考までに、社保庁のこの額は月割簡略計算によるので、ほんの少し(数百円単位)だが、少なめになっている。 面倒くさいからといってそのままおおらかに放っておいても、納税義務は果たしたことになるので、それはそれで構わない。 しかし、納税額がある人は確定申告をすると、ほとんどの場合税金が帰ってくる。 特に、「扶養親族等申告書」を提出していない人は、税金の納めすぎである。 仮にTomeさんがこれを出していないとすると、納税額は18万円にもなってしまう。 単に、配偶者控除(税額でいうと30,400円)などが認められていないだけではないのだ。 まさか、扶養親族がいないからといって、「扶養親族等申告書」を提出もせず、確定申告もしない人はいないと思うが、もしいたら、必ず確定申告をすべきである。 大体、「扶養親族等申告書」という名前も悪い。 その機能も兼ねてはいるが、扶養親族がいようがいまいが、これを提出するかしないかで、税金の計算方法が違ってしまうのである。 次に、これを届けてあっても、社保庁では社会保険料などの控除はいっさいやってくれない。 年金受給者であっても、何がしかの健康保険(一般には国民年金保険)に入っているはずだし、配偶者や子供の国民年金保険料を世帯主の義務として払っている人も多いはず。 これは全額控除が認められている。Tomeさんの場合、この部分で34万円、よって税額でいうと27,000円が戻ってくる。 ほかに、生命保険料、損害保険料などがあるが、これはサラリーマン時代と同じで、年末調整と同じような要領で申告すればよい。医療費控除はすでに有名になっている。 今の時期であれば、市役所にいくと丁寧に教えてくれるはず。 納税は国民の義務であるが、税金が正しく有効に使われているかを厳しく監視することもまた、義務である。 自分の税金の取られ方を理解しないで、税金の無駄使いはやめろといっても、迫力がない。 確定申告は税について理解する絶好の機会であるし、また、実益にもなる、(何がしかの晩酌代になる) 最後にひとこと、ここで採用した税率は8%であるが、来年は放っておいてもこれが9%(税金が12.5%増える)、再来年は10%になる(今年に比べて税金が25%増える)。これが定率減税の廃止といわれるものである。 今後議論される税制改正とは関係ない自然増税が、25%ですぞ。(この25%は低額納税者の場合であって、高額納税者はもう少し小さくなる) まだよく理解されていなくても、これはすべての納税者に対してすでに決定されたものですぞ。 (平成18年2月28日) |