社会保険労務士福留事務所(Tome塾主宰者) 


 低所得の老齢基礎年金の受給者に対する支援(年金生活者支援給付金の支給に関する法律)
 (施行日は消費税10%化にあわせて平成27年10月1日を予定)
 
0.経緯  年金機能強化法の原案からから削除された低所得高齢者・障害者等への年金額加算に代わるもので、国民年金の仕組みとは別途に法律を設けて、福祉的な給付を行うことになった。
 施行日:消費税10%化にあわせて平成27年10月1日を予定 
1. 目的(1条)
  「公的年金等の収入金額と一定の所得との合計額が一定の基準以下の老齢基礎年金の受給者に国民年金の保険料納付済期間及び保険料免除期間を基礎とした老齢年金生活者支援給付金
 又は保険料納付済期間を基礎とした補足的老齢年金生活者支援給付金を支給するとともに、所得の額が一定の基準以下の障害基礎年金又は遺族基礎年金の受給者に障害年金生活者支援給付金又は遺族年金生活者支援給付金を支給することにより、これらの者の生活の支援を図ることを目的とする」
2 老齢年金生活者支援給付金
 支給要件(2条)
 「老齢基礎年金の受給権者であって当該老齢基礎年金の裁定の請求をしたものが、その者の前年の公的年金等の収入金額と所得との合計額(前年所得額)が、老齢基礎年金満額を勘察して政令で定める額(所得基準額)以下であることその他その者及びその者と同一の世帯に属する者の所得の状況を勘案して政令で定める要件に該当するときは、当該老齢基礎年金の受給権者に老齢年金生活者支援給付金を支給する。
 ただし、次のいずれかに該当するときは、支給しない」
・日本国内に住所を有しないとき。
・当該老齢基礎年金の全額につきその支給が停止されているとき。
・刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されているとき。
⇒世帯員全員が市町村民税非課税者で、かつ、年金収入とその他の所得の合計が満額の老齢基礎年金額(77万円程度になると予想される)以下である者  (対象者は約500万人位といわれている)
 支給額(3条)
 「老齢年金生活者支援給付金は、月を単位として支給することとし、その月額は、次に掲げる額を合算した額とする」
 @ 給付基準額(5,000円、物価スライドあり)×保険料納付済期間月数/480
 A満額の老齢基礎年金額×保険料免除期間月数/480×1/6(4分の1免除期間に対しては1/12) 
 (例) 480月全期間全額免除の場合、支援給付金は77万円×1/6、一方、年金額は77万円×1/3であるから、合計すると77万円×1/2、すなわち国庫負担が1/2の場合の年金額と同額になる。
3 補足的老齢年金生活者支援給付金  
 支給要件(10条)
 「老齢基礎年金の受給権者であって当該老齢基礎年金の裁定の請求をしたものが、その者の前年所得額が所得基準額を超え、かつ、所得基準額を勘案して政令で定める額以下であることその他その者及びその者と同一の世帯に属する者の所得の状況を勘案して政令で定める要件に該当するときは、当該老齢基礎年金の受給権者に対し、補足的老齢年金生活者支援給付金を支給する。
 ただし、上記2条と同じ不支給基準を定める」  
 支給額(11条)
 「補足的老齢年金生活者支援給付金の額は、月を単位として支給するものとし、その月額は、老齢年金生活者支援給付金の額からその者の前年所得額の逓増に応じ、逓減するように政令で定める」
⇒ 老齢年金生活者支援給付金のための所得基準を若干上回る適用除外者に対しても、所得の逆転が生じないように、保険料納付済期間月数を基礎とした補足的な額を支給する。
 (年金収入とその他の所得の合計が年約77万円超87万円未満程度の者で、対象者は約100万人位といわれている)

 


4 障害年金生活者支援給付金
 支給要件(15条)
 「障害基礎年金の受給権者であって当該障害基礎年金の裁定の請求をしたものが、その者の前年の所得がその者の所得税法に規定する扶養親族等の有無及び数に応じて政令で定める額以下であるときは、当該障害基礎年金の受給権者に対し、障害年金生活者支援給付金を支給する。
 ただし、不支給の基準は同様とする」
 支給額(16条)
 「障害年金生活者支援給付金の額は、月を単位として支給するものとし、その月額は、給付基準額(5,000円、障害等級1級の場合は、6,250円)とする」
5 遺族年金生活者支援給付金
 支給要件(20条)
 「遺族基礎年金の受給権者であって当該遺族基礎年金の裁定の請求をしたものが、その者の前年の所得がその者の所得税法に規定する扶養親族等の有無及び数に応じて政令で定める額以下であるときは、当該遺族基礎年金の受給権者に対し、遺族年金生活者支援給付金を支給する。
 ただし、不支給の基準は同様とする」
 支給額(21条)
 「遺族年金生活者支援給付金の額は、月を単位として支給するものとし、その月額は、給付基準額(5,000円)とする。遺族基礎年金の受給権を有する子にあっては、給付基準額をその子の数で除して得た額とする」
6. 費用(26条)
 「年金生活者支援給付金の支給に要する費用は、その全額を国庫が負担するものとし、毎年度、予算の範囲内で、年金生活者支援給付金に関する事務の執行に要する費用を負担する」