社会保険労務士福留事務所(Tome塾主宰者) 


 
 「年金記録確認のお願い - 年金記録の持ち主を探しています」が来たヨ
 
 
Tomeさんのところにも、年金機構からお知らせが届いた。
 はがき大、折り返し3段計6ページにわたり、こまごまとしたことが書いてある。
 どこが最初のページかわかりにくいし、世間一般の人がこれを正確に読みとることは難しいのではないだろうか。
 要するに、これまで年金特別便、受給者便や年金定期便を送ってきたが、持ち主のわからない年金記録がまだ、2千200万件もある。
 もう一度、自分の記録について、漏れや間違いがないか確認してもらいたい、何かはっきりしないことがあれば、年金事務所に赴いて確認してもらってください、ということ。
 
 かって新聞で書きたてられた「消えた年金記録」ではなく、記録は確かに残っているのです。
 しかし、持ち主がわからないので、宙に浮いたままになっている、まことにもったいない記録なのです。
 なぜ、こんなことになったのか不思議な気がする人が多いでしょうが、そもそも日本の年金記録の管理の仕方を考えれば、当たり前のことともいえるのです。
 持ち主が分らない記録とは、もちろんその記録の持ち主の名前、生年月日、勤めていた会社名と勤めていた期間(国民年金の場合は保険料を納付した期間)はわかっているのす 。
 ただ、年金額に結びつくための基礎年金番号がわからない記録のことです。
 基礎年金番号とは、年金をもらっている人であればその人の年金証書の番号、まだもらっていない人であれば、保険料の納付の際に使用する番号です。
 青い年金手帳を持っている人には、この番号が手帳に書いてある。
 橙色やその他の色の手帳やカードを持っている人には書いてありません。もらった基礎年金番号を自分で貼り付けるか、役所で書きこんでもら った人はその番号です)
 どいうわけか、日本には、番号を人から割り当てられること はよくないことだと思いこんでいる人が多いようで、(一方では、その代わりとなる自己管理も苦手なようです)、年金にとって非常に大事なこの基礎年金番号が一人に 一つつづ割り振られたのは、平成9年1月1日からなのです。
 (ちなみにアメリカでは昭和11年から、イギリスでは昭和23年から)
 それ以前は、同じ人であっても、国民年金と厚生年金とでは別々の番号が振られており、中には会社を変わるたびに違う番号をもらうことも珍しくはなかった。(前の番号を引き継いでもらうようにしなかったからです)
 そうであるにもかかわらず、基礎年金番号を全く新しくつけ直すことはせずに、平成9年1月1日現在加入していた一つの番号 だけをそのまま拝借してしまった。
 つまり、その時点だけ有効な記録は何もしなくてもそのまま引きつがれたので、大部分の人は自分の全部の記録が引き継がれたものと、大錯覚を起こしてしまった。
 しかし、よく考えてみれば、一つしか番号をもっていない人というのは、
・20歳からずっと、国民年金だけに加入していて、厚生年金や共済年金のあるサラリーマンになったことがない人。
・20歳(あるいはその前)から定年までずっと一つの会社にいて、一回も転職したことがない人くらいです。
 後の人は、ふたつ、あるいはそれ以上の番号がある可能性が高いです。
 
 さて、Tomeさんのところにきたお知らせに話を戻すと、浮いた年金記録の例が書いてある。
(1)若いころに勤めていた記録が見つかった(年金額が98万円から234万円になった人もいるとある)
 そうなんです、基礎年金番号がない時代に転職をした人で、厚生年金の番号を二つ以上もっていた人は、一つしか基礎年金番号には結びついていない可能性があります。
 また、平成9年1月1日はたまたま国民年金に加入していた人、その前の厚生年金の記録が全部宙に浮いてしまっている可能性すらあります。
(2)結婚前の旧姓の記録がみつかった(年金額が43万円から154万円になった人もいるとある)
 そうなんです、結婚に限らず途中で名前を変えた人。
 年金の記録は前の名前のままになっているので、宙に浮いている可能性があります。
(3)名前の読み方が誤って登録されていた記録が見つかった(年金額が0円から137万円になった人もいるとある)
 会社の担当者が誤ったか、役所の人が間違ったのかわかりません。(昔はもともとの台帳が手書きで達筆な人も多かったようです )
 名前だけではありません、生年月日の間違いもあります。
 中には、名前にしても生年月日にしても、二つ以上持っていて本人が意図的に使い分けた、あるいはうっかり戸籍と違うのを書いた、そういう人がいないこともないです。

 ただし、これらはあくまでも注意を喚起するために書かれたもので、全部、他人の話です。
 大部分の人は、古い年金手帳を持参し、既に記録を確認してもらった、あるいは年金受給の請求をするときに確認した、あるいは特別便が来たときに確認したはずですから、大丈夫 のはずです。(はず、はずです)
 ただし、すべての記録が年金額に結びついているかどうかは、本人しかわかりません。
 役所や会社の人のせいにすることもできませんし、あてにすることもできません。
 その人の経歴を全部知っている人などいるわけないからです。

 よって、どうしても心配な人は年金特別便などをひっくり返して、自分の記録を再度確認してください、というのが、このお知らせなんです。
 確認するポイントは、
@年金の未加入期間あるいは国民年金保険料の未納期間がないかどうかです。
 20歳から60歳までは、これらの期間がひとつもなければOKです。
 20歳前あるいは60歳以降も働いてことがある人は、その期間の厚生年金(あるいは共済年金)の記録が漏れていないか、確認する必要があります。
A未加入期間があったとき:
・その期間は確かに勤めたことはないのか、勤めていた場合は勤め先に厚生年金の制度がなかったかどうかです。
 このあたりは記憶がはっきりしなければ、勤め先の名前を思い出して年金事務所で確認してもらうことです 。昭和17年から厚生年金がある職場もあれば、いまでも厚生年金がない職場ももちろんありますので。
・会社を転勤した人、同じ会社であれば番号は自動的に引き継がれますが、転勤した日が、前と後の職場で違っていることはありませんか。(未加入になっていなければ引き継ぎはOKです)
B厚生年金のある会社には勤めていなかったとき:
 その期間、国民年金に加入していなかったどうかです。
 ただし、配偶者がサラリーマンでその被扶養者になっていた場合、昭和61年3月までは自分で国民年金に加入手続をしていないと未加入で正しいです。
 また学生であった場合は、平成3年3月までは、自分で国民年金に加入手続をしていないと未加入で正しいです。
C未納期間があったとき:
 国民年金の加入手続きはしてあるが、保険料が納付されていない期間のことです。
 もし保険料を払った覚えがある場合は、年金事務所にいって調査してもらうことができます。

 特別便等の記録が手元にないときはどうするか。
 その場合は、「ねんきんネット」で確認してください、とあります。
 まずは、そのお知らせに書いてある自分のアクセスキーと基礎年金番号を手元において、ねんきんネットのホームページに入り、新規利用登録をすることです。(登録すれば、IDがメールで 送ってきます)
 それ以降は、IDを利用してログインすれが、自分の記録を見ることができます。
 (アクセスキーは、現役の人であれば定期便に書いてあるはず。
 また、ない人でもねんきんネットのホームページから取得できますが、郵送されるので数日はかかるようです。急ぐ場合は、年金事務所でもらうこともできる)
 
 さて、Tomeさんの場合、
 20歳になった昭和37年1月から42年10月までは「未加入」となっている。
 このうち、昭和37年1月から41年3月までは学生であって、当時は任意加入であったが、加入しなかったことは自分でも納得。
 また、昭和41年4月から42年10月までは、国家公務員であった。これによる退職共済年金を既に受給済みであるので、これも納得。
 (この退職共済年金にたどり着くまでには、チョットした物語がある。その顛末については第1話を開いてみてください)
 よって、今のところ、Tomeさんの年金記録に浮いた話はないようである。
 (唯一可能性があるとすれば、学生時代にアルバイトをしたが、もしかして厚生年金に入れてくれた奇特な会社がないかということ。
 しかし、アルバイト代から保険料がひかれ、しかも健康保険にも加入していたなどという記憶は毛頭ないので、これ以上詮索することはなかろう )
 これにて、1件落着。
 

平成25年7月06日

 

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